暑くなってくると頻繁に作る冷やし中華ですが、食べるたびにいつも思い出されることがあります。
私は学生時代にテニスサークルに所属しており、ちょうど今くらいの時期にそこの地元の大会に参加しました。
試合進行はかなり融通が利く和気あいあいとした大会で、主催者に申し出れば試合時間をずらしてくれたり出掛けることもできました。
お昼時、私たちの様子を見に来てくださった顧問の先生から
「みんなお昼ごはんは準備してきたのかい?」と聞かれました。
何も準備をしていなかった私たち数人に対して先生は、
「じゃあお昼ごはん食べに行こう。僕の車に乗って!!」
と言われるがままに車に乗り込みました。
数分後、着いたところは何と先生のご自宅しかも新築でした。
「さあ、入って入って。」
と促されて玄関を上がるなり、先生の奥さんが私たちが来るのを待っていたかのように人数分のお昼ごはんを準備してくださっていました。
その時にご馳走になったのが、「冷やし中華」だったのです。
暑い日だったので、そのさっぱりした冷やし中華が美味しくて、親元を離れ一人暮らしをしていた私にとってはすごく嬉しいひとコマでした。
その日の大会の結果とかその後どのように帰宅したかとかは、ほとんど記憶にありません。
しかし、ご自宅に滞在したのはほんの30分くらいだったと思うのですが、新興住宅が始まったばかりの向こうの向こうまで見渡せるくらいの場所にポツンと数件しか建っていない新築にお邪魔して食べた冷やし中華の記憶は今も鮮明に記憶に残っています。
残念なことにその先生が昨年お亡くなりになりました。
その時も先生のご自宅でご馳走になった「冷やし中華」が私の頭で巡りました。
そして、なぜあの時ご自宅に招待してくださったんだろう、とも思いながら。
ひょっとしたら、”僕の”新築を自慢したかったのかなあ、と考えると
「そうなんだよ、よくわかったね。」とクスっと笑いながら返事が返ってきそうです。
今は自分のうち(実家・山形マルヤマ醤油)の「冷やし中華そばの素=たまり酢」を使って作る冷やし中華が一番美味しいと思っていますが、その度にあの時の記憶がよみがえってきます。
いつまでもいい思い出です。
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